製薬会社の営業マンのすべて

ヘルスケア業界は、高給取りなどのイメージもありますが、社員に優しい業界でもあります。毎年の就職ランキングで人気職種になる理由も納得です。そんな業界に勤める現役MRが包み隠さず発信していきたいと思います。

期待の新薬はこの6個だ!2022年までの予測

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現役MRのユウトです。

何回もこのブログで取り上げていますが、来年は診療報酬と介護報酬の同時改定の年になります。製薬会社の社員としては、薬価改定が一番気になる事でしょうか?

しかしながら、薬価改定に関してはアンコントロールな部分が大きく、今後の製薬業界の成長には、もっと前向きに違う視点に目を向ける必要があると感じています。

 

それが新薬です。

期待の新薬を独断と偏見で評価したいと思います。少なくともこの薬は現在、専門医を中心に大きな期待を寄せており、化ける可能性は大です。

 

【目次】

新薬には2種類あります。

 

期待の新薬をご紹介する前に、新薬について一通りおさらいをしていきたいと思います。新薬にはそれぞれ「ピカ新・ゾロ新」と呼ばれるものがあります。薬学用語解説で調べてみると以下のような説明になります。

 

ピカ新とは

新医薬品の中で、特に新規性・有用性が高く、従来の治療体系を大幅に変えるような独創的医薬品で、化学構造も従来の医薬品と基本骨格から異なるものを「画期的新薬」(ピカ新)といい、新薬の薬価算定における3つの補正加算のうちの1つ、「画期性加算」がつけられている。「ピカピカの新薬」が縮まって、業界用語では「ピカ新」と呼ばれている。

 

ゾロ新とは

新医薬品の中で、既存の医薬品の有効成分と同一の薬効、適応症でありながら、化学構造が異なっている医薬品を改良型新医薬品といい、業界用語で「ゾロ新」と呼ばれている。特許の切れた既存医薬品と同一の成分である後発医薬品ジェネリック、ゾロ)とは区別される。

代表的なピカ新を紹介します。

 

つまり、ピカ新はその疾患で初めて承認された画期的な医薬品。ゾロ新は今までの薬剤とよく似た成分だけど新薬。

ピカ新で有名なのがグリベックという薬剤です。最近ではソバルディ、ハーボニー、オプジーボといった薬剤になります。

グリベックは慢性急性白血病の治療薬で今まで、何もできなかった領域でしたが、この薬を使う事で多くの人の命が救われました。画像はグリベックですが、それまでニューヨークTimesで薬は取り扱われなかったのですが、余りにも衝撃的な薬剤で当時の表紙に抜擢されたものです。

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ソバルディ、ハーボニーは昨年、日本の医療業界を騒がせました。数週間服用するだけで、C型肝炎が完治するのです。しかも100%!凄くないですか?今までインターフェロンで効果はあまり期待できないけど、それしかないから処方されており、しかも副作用などで苦しまれている人も多かったと思います。それが数週間で完治です。

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オプジーボは余りにも優秀すぎる薬剤で、売れすぎました。結果、日本の社会保障費を圧迫する恐れがあるため、2月に急遽半額になりました。それでも今年の医療用医薬品の売り上げランキングのTOP3には間違いなく入ると思います。

 

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これらのようにピカ新はノーベル賞レベルの価値があります。そんなピカ新を先生に紹介して、苦しんでいる患者さんに届けるMRの仕事は凄く価値が高いです。これこそがMRをしていて良かったと感じる瞬間ではないでしょうか⁉️

ピカ新は、同じ効果を持つ対象医薬品の1.7~2.2倍の薬価(類似薬効比較方式)が付けられるため、製造開発する製薬企業としてはそれだけ利益が大きい。その一方、既存品を真似せずに、新しい化学構造の化合物を、時間と人を費やし試行錯誤をくりかえして開発をするため、膨大な研究開発費がかかっています。なので規模が小さい日本の企業からは生まれにくいと言われています。(しかし、オプジーボは純国産品ですので、ピカ新が生まれる可能性はゼロではありません)

想像できると思いますが、このようなピカ新に出会えるチャンスは早々ありません。MR人生で一度か二度か、、、そんなレベルです。

そこで、現役MRのユウトがこれはピカ新じゃないかな?と感じる6剤をピックアップして見たいと思います!

 

デュピクセント(サノフィアベンティス

 

抗アレルギー薬になります。まずはアレルギー性皮膚炎を皮切りに喘息など様々なアレルギー疾患に適応を追加する予定になります。既に臨床試験は終了しており、早ければ年明けには承認、4月頃には発売の流れになるんじゃないでしょうか?サノフィアベンティスにとっても社運をかけた製品になっており、実際営業部隊は抗体製剤の経験があるMRや社内でも非常に優秀な人材しか行けないと聞いたことがあります。モノが良いだけに慎重にかつ大胆に販売してくるでしょう。

サノフィは長年インスリン技術で磨いてきた注射針のノウハウがあります。このデュピクセントも自己注射になります。シリンジに新規参入でないので、そこらへんも期待でき、利便性の面でも競合を考えたときに一歩先をいっているんじゃないでしょうか!!

 

イブランス(ファイザー

進行・再発乳がんに適応を取得しました。日本でも既に本年に発売されており、進行・再発乳がんは早期乳がんと比べても生存率が低く、治療も限られているのが現状です。その中でイブランスは標準治療のイブランス併用投与群が、標準単剤投与群より、無増悪生存期間を約2倍も延長することが示されました。無増悪生存期間の中央値は2年を超えており、標準療法では1年強であったその期間を大幅に延長したことは画期的だと言われています。ファイザー社員もイブランスにはかなりの力をいれています。

 

エントレスト(ノバルティス)

 

慢性心不全の薬になります。これも治療法が限られている分野であり、今までの標準治療(エナラプリル)と比べエントレスト投与群は心不全による死亡や心不全による入院を有意に低下させています。しかも効果が良すぎたため、早期に治験を終了する勧告があったくらい効果に期待している薬剤になります。ノバルティスの社員もこのエントレストには期待しており、先生からの問合せもしばしば受けると聞いたことがあります。ちなみに世界ではすでに発売されており、日本では2~3年後と言われています。

 

アデュカヌマブ(バイオジェン、日本ではエーザイ

アルツハイマー治療薬です。エーザイアリセプトというアルツハイマー治療薬で1000億を超えた実績があります。現在、後発品があるため苦戦を強いられていますが、まだアルツハイマーで養った脳外科先生への火は消していません。これはアデュカヌマブに大きな期待を寄せている事が想像できます。競合は次々と失敗していますが、この薬はうまく臨床試験をクリアしていっています。内藤社長のコメントも非常に力強いモノを感じますので、社運をかけているといっても過言ではないと思います。おそらく3~4年後くらいには日本でも承認されるのではないでしょうか。

 

ヘムリブラ(ロシュ、日本では中外製薬

 

アメリカでの売り上げ市場予想は50億ドル。血友病Aの治療薬になります。血友病は血が止まりにくい病気なので、出血の危険がある作業は危険となります。現在の治療法はあるのですが、非常にややこしくこのヘムリブラが登場する事で利便性や効果が期待できると言われています。中外製薬が自社開発してロシュに提供している製品になります。