製薬会社の営業マンのすべて

ヘルスケア業界は、高給取りなどのイメージもありますが、社員に優しい業界でもあります。毎年の就職ランキングで人気職種になる理由も納得です。そんな業界に勤める現役MRが包み隠さず発信していきたいと思います。

プライマリーと希少疾病領域を担当した現役MRが大学病院担当MRを語る!

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現役MRのユウトです。

 

MRの大学担当者ってどうなんでしょうか?
現在担当している先輩は辛そうですし、
今の開業医のままでいいかな~って思っていますが、
キャリアを考えた時に気になっています。

 

大学病院担当者って非常に辛そうに見えます。
支店長からも〇〇大学の採用はどう?処方状況は?などなど
色々と聞かれるケースも多いですし、
それだけ開業医の先生に与える影響も大きいのが現状です。

 

その現状から逃げ出したくもなることもありましたが、
僕は20代でプライマリー領域、希少疾病領域としての大学担当者を
幸いにも経験することができました。

 

自分の経験を交えながら、記事を書きましたが、
やっぱり若い時にプライマリーで担当するべきだと思っています。

 

どうぞ気になる方は、引き続きお付き合いください。


【目次】


辞令は突然!上司からのいきなりの呼び出し。。「来年から大学病院を担当してもらうから」


入社4年目の秋に当時の所長に呼ばれ、
「来年から大学病院を担当してもらうから、よろしく!」
といきなり告げられました。。

エリアの業績も普通だった僕にまさかの言葉です。
なぜなら、大学病院担当者はその営業所の中でエース級のMRが担当するからです。

心の中では嬉しかったんですが、
冷静に考えると、基幹病院も担当したことがないのに、、、
いきなり大学病院なんて、、、ヤバすぎやん!
って、めちゃくちゃ焦りました。


いきなりの辞令でパンク状態。。。どうしよう。。。


案の定、めちゃくちゃ苦労しました。。

本当に焦った僕は、
同期入社の大学担当者に聞いたり、
担当する大学病院のホームページを必死に研究しました。

 

「講師?」「助教?」「教授?」「助手?」「科長?」「医長?」「研修医?」
なんでこの人、年配なのに大学院生なの?

???

本当に分からないことだらけです。。。。


そこからスタートです。

ただ変にプライドを持っていたので、
だれにも聞かず一人で黙々とグーグル先生に聞いていました。笑)

からしたら、大抜擢なので、

・同じ施設を担当している先輩に迷惑をかけないようにしよう!
・数字をあげよう!

と最低限の目標をあげるのがギリギリな状態でした。

 

 

大学病院の先生の行動パターンが全く分からない。。。


言葉の意味も分からない状態だったので、
病院に入れる時間は毎日とことん大学病院に入って、
色々なことを吸収しよう!!と決心し、
当時、訪問規制がなかったので7ー10時までほぼ毎日入りました。

会議や研修の日も朝早くor終わってから、
病院に入ったり、とにかく必死に回りました!

量は他製薬会社MRの誰よりも入れたと思うのですが、
面会率は非常に低く、全然会えない日もあったり
営業活動は非効率でした

会えても数秒で面会が終わりますし、、
話が盛り上がらないので、、
むちゃくちゃ胃が痛い思いです。

 

開業医だと診察室に呼ばれて、
先生と談笑を繰り返し、
最後に製品をPRして帰るスタイルを持っていた僕には
苦痛です。。。
先生が聞く姿勢じゃないんですもん。。。

 

話かけるタイミングをミスってしまう。。。


四六時中、病院に訪問しているので、
普段会えない、レアな先生もバッタリ出くわします。

「よしっ!」
と気合を入れて話しかけるも、、
「今は忙しい!」
と瞬殺です。。。

せっかく会えたのに。。。と思っていたら、
10分後にまた出くわして、、、
「さっき忙しいと言われたから、、、」
って遠慮をしていると、他社メーカーと長く話しています。。。

「うそーーーっ」
僕って嫌われているのかな??
単に書類を事務に持っていくタイミングだっただけだったのですが、
一歩間違えれば、人間不信に陥りそうな時もありました。。。

だんだん話しかけるタイミングが分からなくなっていき、
最終的には立ちっぱなしの時期もありましたよ。。。


上司同行で怒られる、評価も最低をつけられる。。


時々、所長同行があります。。。
むちゃくちゃ嫌です。。

だって、自分でもイマイチ分かっていないのに、
それを所長に曝け出すって。。。
公開処刑のようなものです。。。

案の定、怒られました。。。
いつも通り医局前で待っていて、先生には話しかけず、
ずっと様子を見ていたからです。

僕には以前の「今は忙しい!」と言われた言葉が
すごく引っかかっていて、
妙に慎重になりすぎていました。。。

所長はこれじゃ数字がヤバいと思ったのか、
こっ酷く怒られましたが、
開業医しか持ったことのない入社4年目には荷が重すぎる!!
と開き直ってましたね。。

ちなみにこの年の評価は最低で、
MR人生の中で本当に厳しい、試練の時期でした。。。


医局内で揉めている中、知らずにNGワードを出してしまい炎上


僕は大学病院担当MRとして、色々失敗をしてきました。。
カンファレンスといって
医局の中で症例検討や論文の抄読会を行います。
もともと仲がそこまで良くなかった先生同士が
このカンファレンスの症例検討でバトったらしいです。

他のMRは医局内の先生から教えてもらっていて、
話題を触れるのを避けていたのですが、、、
何も分からない僕はその話題を触れてしまい逆鱗に触れちゃいます。。
後に紹介する大変お世話になった秘書さんを通じて、
なんとか問題なくなったんですが、、、

大学病院ってポストに枠がありますので、
人間関係も複雑になりやすいそうです。

同じ世代や後輩がどんどんのし上がっていくと、
カドが立つらしく、、、

よくよく考えると、
MRでも
自分の同期入社が偉くなっていく、
後輩が偉くなっていく、
これって気分的には切り替えるの難しいですよね。。


気持ちだけが先走るけど、数字(結果)が出ない


僕の大学病院担当の序盤を紹介しちゃいましたが、、、
これで数字が上がったら、
まじ「運」ですよ!

先生とのコンタクトも良くないですし、
話も聞いてもらえない状況で、、、
薬が使われる可能性はゼロです。

よっぽど薬がよい場合は違いますけど、、、

評価が最低と書きましたが、
数字も良くありませんでした。。
ただ学会の労務提供や学会参加で
時間外がバンバンつきましたので、
年収的には前年度を上回ることができましたが、
気分的にはどん底状態です。。。


そんな中、一筋の光が!!!救世主が現れる


こんなどん底状態でも毎日病院に通っていれば、
良い事もあります。
それはスタッフの人と仲良くなれる事です。
当時、販促品は僅かながら配っていましたので、
その販促品を片手に「秘書さん」「研究助手」のスタッフさんと仲良くなる事が出来ました。

ただ雑談をしていたのですが、
これがキッカケになったんです!


秘書さんが僕の営業活動を支えてくれた


教授には1人程度秘書さんがついています。
彼女らは医局内の雑用だったり、教授のスケジュールを管理しています。
まさに医局内では彼女orお母さん的なポジションですね

めちゃくちゃ人間関係とか噂話(教授の家庭事情、愛人情報などなど)、薬剤の採用の話も知っているんですよ!

秘書さんの中にもパワーバランスがあって、
ボスの秘書さんの元には各医局の情報が雪崩れ込みます。

この秘書さんと仲良くなれた事で、
大学病院内の様々なルールや人間関係が一瞬にして分かりました!

一気に他社MRよりも情報通になることができたんです。
情報さえ手に入れれば、先生が抱えている悩みなんて分かりますし、
営業がしやすくなりました。

この時ぐらいから楽しくなってきましたね!


マーケティング担当者との同行で確信を得る


全国でも著名な先生を担当させてもらっていたので、
マーケティングや会社のお偉い人とよく同行させて頂きました。

忘れもしないのが、
マーケティングの担当者と同行させていただいたときです。

彼は営業上がりで現場を熟知できる数少ない方です。
当時、20代で大学病院を担当していた時、
全く関係ない医局の教授とプライベートで仲良くなり、
教授室もノック一つで入れていたと言っていました。

その教授からは教授会の中身や薬審の内容まで
細かく教えてもらっていたそうで、
情報がほとんどつかめていたとおっしゃっていました。

そしてドンドン数字が延び、マーケティングに希望して配属されたと聞きました。

まさに僕と同じ状況です!
秘書さんを通じて情報を掴めたことで、
大学病院の営業が楽しくなり、
実際、処方もドンドン出ていき、
競合製品を大きく上回る結果を残せました!

大学病院の独特の仕組みが理解できた時、
徐々にコンタクトレベルが上がっていくとともに数字がついてくる

これを直に体験することができたんです!


プライマリー領域とスペシャリティ領域での大学担当者の責任・役割の違い

僕はプライマリー領域と希少疾病領域で大学病院を担当していました。

プライマリー領域のはオワコンって、
言っている人も多いですが、
大学病院という組織を知るためには
最適な領域でした。

そして、この経験は医療関係の仕事に全てに繋げることができます。
長いキャリアを考える上では必須項目だと思っています。

どこが違うのか?
それは希少疾病は大学病院にターゲットの先生が数人しかいないので、
組織として把握する必要はなく、
学術の話題が好きな開業医に学術の話をしにいくような
活動を繰り返せば、処方がでます。
点を崩すイメージです。

それに比べて、プライマリー領域は
点と点と結んで行かないと攻略はできません。
人間関係を含む、医局全体を考えて動かないと数字に直結しにくいんです。
例えば、
若手医師にアプローチしても、迷ったとき中堅先生に聞かれたら違う製品を推されたので、その製品を処方した。。。
中堅医師は自社製品は好きだけど、患者は若手医師がたくさん持っている。。。

こんな感じで
同じ大学担当者でも製品が違うと全く働き方が違います。

希少疾病は患者さんの話をベースに話すことが簡単なので、
MRとしてのやりがいは得やすいですが、
その反面、医師という職種を理解するのは非常に困難です。。。


大学担当者あるあるから考えても、大学担当MRはできるだけ若い方がイイ!

僕は入社4年目でもたせてもらいましたが、
当時は「まじかよ!」って焦って、
色々失敗を繰り返しちゃいました。。。
どん底の状態では、開業医担当に戻りたいとも思いましたけど、
若い時に持っててよかったなって今ではマジで思います。

1番の理由は「体力」です。


大学担当者あるある1:随行の多さ

大学担当者って随行が多いんです。
つまり、
担当している先生が演者として呼ばれることが多いので、
お供して全国を飛び回ります。

土日も働きますし、
平日も全国に移動します。
次の日が外来だったりすると、深夜に近くまで移動して、
朝早くに移動する。。。
そのまま営業活動。。

結構タフな仕事です。

 

大学担当者あるある2:内勤の多さ


それに加えて、内勤の多さがあります。
大学病院って影響力があるって理由で、
支店や全国からも逐一、報告書を提出しないといけないんですよ。。

その他にも各部署と関わり合いが多いので、
メールの返信も多いですし、、、

内勤が嫌いな僕にとっては非常に苦痛でしたが、
内勤業務が非常に多いのが特徴です。

大学担当者あるある3:社内での人脈が増える


一方で、メリットもあります。
色々な部署の人と関わるので、
メール返信も増えますが、
社内の人脈作りは半端なく進みます。

当時、
一緒に仕事していた人が支店長になったり、所長になったり、
することも良くあります。
今でも同じ支店内に所長としての知り合いがいます。
よく考えてみると、関わり合いがあるMRって大体、大学担当者か本社のお偉いさんですしね!

結果、その後の仕事のやり易さにも繋がってきます。

 

大学担当者あるある4:やたら研修が多い

 

大学担当者って、研修が多いんですよ。。。
同じ支店内で大学担当者だけが集まって会議したり、
旧帝国大学担当者だけの会議や
ロジカルシンキング研修などなど
各営業所のエースなので、会社としてもそれなりのリソースをかけて社員の育成に力を入れてきます。

そこでも人脈が増えますし、、、

本当に知り合いが一気に増えました。
しかもみんなめちゃくちゃ優秀なんですよ!

 

 

大学担当者あるある5:評価は取りやすい

 

えっ!?ユウトさん、さっき評価は最低って言っていませんでした?
と突っ込みが入りますね。

実は次の年は最高の評価なんですよ。
理由は大学病院の回り方が理解できて、
営業所内や支店内、ハタマタ全国に僕の行動がシェアされる事もありました。

普通の活動をしていても、
多くの人と関わり合いますので、
真面目に働いていれば、
評価は上がっていくんです。
年末の所長へのアピールもし易いですしね!

結果、大学担当者の時は1年目を除いて最高の評価をもらいました。

 

 

大学担当者あるある6:勘違いMRが一定数存在する

 

一部に勘違いしているMRもいるんですよ。。
自分が有名人だと、、、
凄く悲しいですよね。。。

環境的に
・評価が得られ易い
・有名な先生を担当しているので、全国を飛び回る

なんかエリートサラリーマンみたいな感じしません?

飛行機をバンバン乗るケースなんかあれば、
ANAダイヤモンド会員なんかも夢じゃないんですよ!

20代でダイヤモンド会員、全国を飛び回る。。。
一歩間違えれば勘違いしそうですが、
勘違いしているMRは一定数いらっしゃいます。。。


早くに大学病院を担当していて良かったこと

なにはともあれ、20代の若いうちに担当して本当に良かったです。
医師という職種を理解することができました。
どんな医者も大学という組織を出て、
医者になります。
その教育機関を理解することで、医局人事や先生の置かれている立場を
容易に理解できますし、
視点が広くなります。

2現在、基幹病院と数件の開業医の先生を担当しています。
例えば、昔はナンバー内科でした。
第一内科、第二内科ってな感じですね。
その第一内科に循環器、神経内科、腫瘍内科など様々な専門が入っています。
同じ病院に勤めていて、違う科でも同門であれば
結構な確率で仲が良かったりします。
それをキッカケに仲良くなって、
他社メーカーが面会していないところで
バンバン処方とってたりします。

本流と違うところに面会しているMRって
実はそんな視点で動いてることもあるんですよ〜

 

最後に

色々苦労しましたが、
入社4年目の早い時期に担当になれて良かったと心底感じます。
しかもプライマリー領域で担当させてもらった事に凄く大学担当者の意義を感じます。
(当時の所長には「まじかよ」って思いましたけどね、、、笑))

その経験は
今の活動に活かせています。
全ての先生が経験した大学病院を僕は経験させてもらいました。

MRに限らず、
将来、医薬品業界に関わる仕事をするつもりなら、
絶対若いうちに(めちゃ体力が必要なので!)
できればプライマリー領域で大学病院を担当する事をオススメします。

今なら会社の名前で医局まで上がれますし、
普段は絶対見れない世界が広がっていますよ。