製薬会社の営業マンのすべて

ヘルスケア業界は、高給取りなどのイメージもありますが、社員に優しい業界でもあります。毎年の就職ランキングで人気職種になる理由も納得です。そんな業界に勤める現役MRが包み隠さず発信していきたいと思います。

詰めという作業の代償

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現役MRのユウトです。

2017年が終わり、2018年が始まって10日経ちました。まだ10日?もう10日?感じ方は人それぞれかもしれませんが、一年のうちの10/365、つまり約3%が終了したことになります。この10日間満足した時間を過ごせましたでしょうか?

それはともあれ、2018年の社長や各領域フランチャイズTOPのメッセージが先日紹介されました。僕の会社は外資系なのでパイプラインは他と比較して豊富にあります。他からの導入も考えているそうですが、自前で研究開発し、ガッツリ利益率の高い製品を売る!このサイクルを基本路線としているので、これからも研究開発費には莫大な資金を投入していくでしょう。

それらに投資するためには既存の薬剤を売る必要があり、売るためには経費がある程度必要になってきます。経費を取るためにはグローバルに日本の貢献を認めさせる必要があるので、毎年11月には会社の大きく支えるフランチャイズであるプライマリー製品を中心に大型の詰めという作業が行われます。

この作業について今日は私見や同僚の意見を参考に考えていきたいと思います。

どうぞお付き合いください。

 

目次

そもそも詰めって何?

製薬企業に関わらず営業をされている人は一度は経験した事があるんじゃないかと思います。上司(会社)から突然、

「今月の売り上げ目標に大きく下回っている!来月分の注文の今月もらってこい!」

 

まさにこの作業が詰めという行動になります。

一つ疑問が出ると思います。

「来月は?」

 

そうなんです。

結局は自転車操業になってしまう可能性があります。しかも厄介なことに来月の目標はさらに高くなっています。どこかで大きな新規採用or新規処方をしない限り永遠と続く作業になってしまいます。

 

なぜ詰めの作業を行うのか

正直真相は分かりません。

特に医薬品業界の詰めは命に関わる製品の納入なので、厳しく管理されています。直接医薬品を医療機関に持っていくのは特約店といわれるグループです。MRはあくまでも情報提供です。このMRが一生懸命詰めの作業を行っても、特約店がYES!と言わないと注文を上げてくれません。

そのため、このような製薬会社が大きな売り上げを残したい月は特約店に向けて施策と呼ばれる飴玉をぶら下げます。〇〇製品を今月これだけ売ってくれたら、◎◎円プラスで差し上げます!みたいな

お金を払ってまでしたい理由。。。。。

上の人の保身だと同僚は口を揃えて言っています

それもあるかもしれませんが、僕は少し違うんじゃないかと思います。

保身もあるかもしれませんが、

経営を考えた時にMRの尻を叩く一つのテクニック、そして外資は本国へ何か大きなお願いをしたい時のパフォーマンスじゃないかと。。。

だから周りに回って、きっと自分に返ってくるんだと考えています。

 

実際の詰めのを振り返る

会社によって違うかもしれませんが大きくは以下の流れじゃないでしょうか?

①本社で詰める月を決め、特約店に施策を持ち込む

②施策のOKがでたら、MRに流す

③MRは前月から来月は〇〇製品のキャンペーンがあるので、今月は少なめで!とお願いを始める

➃月初、各得意先の目標を特約店に持ち込み、すり合わせを行う

⑤月半、状況を振り返る

⑥20日までに◎◎%仕上げたら追加で●●円あげるという施策が多いため、早くから詰められる先は片を付ける

➆最終週にお願いに回る

 

こんな感じだと思います。

しかもほとんどMRが行います。お金は特約店に払うのにMRが行います。特約店は自分の会社だけ相手していないので、一番お得な施策を入れた会社の応援するわけです。

ちなみに病院は特約店は手伝ってくれません。。MRだけですべて行います。

 

詰めの代償

詰めが始まったのは今ではありません。ずーーっと行われています。以前は、院内処方がほとんどだったため、詰めて在庫を得意先の棚に置くことで、〇〇製品が多いなーと思うので、同じ種類の製品を使うなら在庫の多い製品を消費するため、意味がありました。今は医薬分業が主流になり、薬局に在庫があることをクリニックは知りません。普通に処方します。

実際のドクターが言っていました。

つまり昔より詰めという作業の意味がなくなってきています。

MRは詰めることによって、一定の満足感や営業所としての一体感が生まれ、色々な場面でプラスに働いてきますが、満足度と引き換えに疲弊してしまいます。

「翌月は流す」

こんな言葉さえ聞こえてきます。

 

今後の詰めの作業について

どうなんでしょう。。。急には変わらないと思いますが、希少疾病やオンコロジーはこのような文化はありません。そのため会社の屋台骨がこちらに傾いていくので、今後はなくなる可能性も高いです。

ちなみに大日本住友製薬は詰めの作業がなくなりましたし、僕の会社も今年は計画していないそうです。

経営陣も辞めたいのはヤマヤマなんでしょうけど、過去の流れを急に止めることは誰かが反対するんでしょうね!あとは本国へのお願いの時、どうしても短期的な売り上げが必要になってくるんでしょうね。。